契約後の解約はできない?
さて、「さあ契約、細心の注意を!」において、契約書を交わせばもう後戻りはできません、と書きましたが、「本当に絶対解約できないのか」と問われれば、解約そのものはできます。
ただし、契約前とはもはや状況が大きく異なっていますので、やはりそう簡単なものではありません。それでは、ここで解約できる例をいくつかあげてみましょう。
まず、クーリングオフ。ここでもっとも誤解が多いと思われるのは、自宅での契約ですね。自宅での契約は何でもかんでもクーリングオフの対象だと思っている人が多いんですよ。
確かに、押し売りが「頼みもしないのにあちらから」やってきて、あれよあれよという間に契約させられた、という場合は、クーリングオフの対象となります。ですが、購入側から「自宅に来てくれ」などと要請した場合は、この対象外となりますので、この区別はきちんとつけておきましょう。
また、飲食店などでの契約はクーリングオフの対象となりますが、販売センター、事務所などでは対象にはなりません。これは、一般的に契約を交わす場所だと認識されているからです。つまり、お店に出向いてモノを買う、というのと同様の考え方になります。
手付金の放棄。契約時に支払った手付金を放棄すれば、「契約履行の着手前」なら無条件で解約できます。しかし手付金は物件価格の5〜10%ほど、金額にして数百万にもなりますから、かなりの痛手を覚悟しなければなりません。
さらに、「契約履行の着手」が始まっていたら、さらに違約金が必要になることもあります。
ちなみに契約履行の着手がどの時点を指すかというと、その解釈の範囲は個々のケースによってある程度の幅があるのが現状ですが、一般的には、オプションなどの手配にとりかかっていたり、所有権の移転登記の申請がはじまっていたり、住宅ローンの契約が締結されていたり、といったものがあげられます。
契約違反。契約していた内容・条件から違反している、といった場合などに、売主側に契約解除と、場合によっては違約金を求めることができます。
しかし、この範囲というのも正直言ってあいまいです。たとえば仕様が違う、といった場合、おそらくいきなり契約解除ではなく、あらためて契約どおりの仕様にする、といったところで一件落着させられるでしょう。話がつかなければ、法廷にまで持ちこむこともあります。一般的には該当できるケースはあまりないと考えておいた方がいいでしょう。
住宅ローンが通らなかった場合。これは、「ローン特約条項」による解約です。借りる予定だった住宅ローンが借りられなかった場合に解約できるというものです。この点についての詳しい内容は、「資金計画について」の「提携ローン以外を借りる時の注意点」をごらん下さい。
他にも、自宅の買い替えなどでうまく売却できなかった場合などがあります。
しかし、上記の例を見てもおわかりのように、無条件で解約できるケースはかなり限られています。
あくまで、契約した以上、原則としては白紙には戻せない、ということを頭に入れておいて下さい。条件に当てはまらなければ、たとえ重大で緊急な事情ができて、どうしても買えなくしまった場合でも、もう情に訴えるぐらいしか手段はなく、それでも認められなければ、金銭的な損害は避けられないのです。